モリサワの「文字組版の教室」参加レポート

4月25日にモリサワで開催された「文字組版の教室」 に行ってきました。

ちなみに、つい最近までモリサワ本社が大阪にあることを知らなかった私…。
(しかも、意外な場所にあったので、ちょっとびっくりしました。)
ビルはグッドデザイン賞も受賞しているおしゃれなビルでした。

講義について

10時〜17時の1日かけてのセミナーで、内容はDTPの歴史や基本的な組版についてでした。
受講料は1万円と、いつも参加しているセミナーなどに比べるとちょっとお高めな感じはありましたが、その分参考図書がいっぱいでした。


参考図書と一緒に、スライドを印刷した資料(フルカラー・全52P)や、近辺のランチマップなども配布されており、「さすが、有料セミナー!」と思いました。

文字と組版の歴史

手書きから始まり、製版印刷、活版印刷、写真植字、デジタルフォントへの移り変わりの紹介がありました。
世界最古の印刷物「百万塔陀羅尼」の紹介もあったのですが、これについては、実際にショールームの見学でみることもできました。

ショールームは昨年リニューアルされたそうで、印刷物の歴史以外にもモリサワの歴史がわかるデジタル年表などもあって楽しかったです。
ショールームの見学申し込みはサイトでもできるようなので気になる人は是非。
モリサワの展示ゾーン | 文字の手帖 | 株式会社モリサワ
活字時代の紹介では、ベルギーにある「プランタン・モレトゥス博物館」による、当時の活版印刷の動画が紹介されていました。
Het drukproces in Museum Plantin-Moretus

デジタルフォントと文字コード

フォントを購入するときにも知っておくとよさそうな内容がちらほらありました。
例えば、日本語OpenTypeフォントの名前についているStdやPro、Pr6の説明。
「Adobe-Japan」というアドビがDTP用に開発した規格があり、どのくらい文字が収録されているか表すものだそうです。
1-0からはじまり、最新の1-6になるほど収録されている文字が増えていく仕組みで、Pr6/Pr6Nとついてるものが一番文字が入っているとのこと。
(※欧文フォントにもstdやproがついているものがありますが、フォント会社ごとに意味がちがうようです。)

フォーマット 文字セット 文字数
Std/StdN Adobe-Japan 1-3 9,354
Pro/ProN Adobe-Japan 1-4 15,444
Pr5/Pr5N Adobe-Japan 1-5 20,317
Pr6/Pr6N Adobe-Japan 1-6 23,058

人名などで珍しい漢字を使う場合は、Pro以上のフォントを選択した方が良さそうです。
Illustratorの場合は、文字をドラッグまたは字形パネルから異体字を確認できます。


Nがついているものとついていないものの違いは、標準字形がどちらかを表すものになります。
Nがついていなければ「JIS90」、Nがついていれば「JIS2004」に対応したフォントという意味。
Nがついているほうが旧字っぽいものがでてきます。

WindowsのシステムフォントはXPまではJIS90だったのが、VistaからJIS2004に変更されました。
(そのため、MSゴシック・MS明朝はフォント名が同じなのに字形が変わってしまうケースも発生するようです。)

括弧のルール

括弧の名称やルールに関する話。
見たことはあるけど、読み方を知らないもの、縦組と横組でのルールの違いについては勉強になりました。

<不等号> は括弧ではないので、 〈山括弧〉 を使う

私はメールで、不等号を使っていたことがあるので気をつけようと思いました…。

横組みでは[ブラケット]、縦組みでは〔キッコウ〕を使う

横組みは“ダブル引用符”、縦組は〝ダブルミニュート〟を使う


ちょっと変わった例として、アサヒのスーパードライとTVのテロップがあげられていました。
NHKなどのテロップでは、視聴者が濁点と見間違えないように意図的に下げているそうです。

その他にもルビや数字、欧文の組み方、紙面ルールの説明に加えDTPエキスパートの練習問題などもありました。
(ちなみに練習問題の方は、当日触れてない内容も多くて、さっぱりでした…)

感想

DTPの人向けの内容だったとはいえ、Webの人も知っておいた方がいい内容もちらほらありました。
「新卒の頃に研修でききたかった…」と思いながら聞いてました。
なんとなく知っていたけれど、うまく説明できないことや、ついつい忘れてしまっている項目もあったので、頂いた書籍を読んで勉強したいと思います。
ノベルティは、「はせミンのファイル」と「伝統的文字サイズ表」がが入ってました。
文字サイズ表はコズフィッシュさんのデザインなのですが、封筒付きでかわいかったです。
あと、組版の間違い探しに答えたら付箋ももらえました。


書籍やノベルティがたくさんついてくるので、企業にお努めの人は、会社の研修としてで参加をおすすめします。
当日の配布物についてはDTP Transitさんがまとめてくれています。
(一部書籍についてはAmazonでも購入できるので気になる方は是非。)
『モリサワの組版教室』は資料目当てで行っても十分に元が取れるし、「知識の棚卸し」としてオススメです – DTP Transit