『IAシンキング』の著者である坂本 貴史さんの2冊目の書籍『IA/UX プラクティス』の刊行記念イベントがあったので行ってきた。
セッションは前半に講義・後半にワークショップという2部構成だった。
プラクティスとトレーニングの違いについて
書籍のタイトルでもある「プラクティス」の話から。
「プラクティス」と「トレーニング」の違いについてのお話。
プラクティス
長期記憶を目指す
トレンドなど、その場しのぎではなく、長く使えるものを
トレーニング
負荷を与えないと効果がでないもの
続けないと効果がなくなる
たしかに書籍をみると、現在のトレンドの手法も紹介されてはいるが、結構どの分野でも使えるようなノウハウが紹介されている印象。
ジャーニーマップとは
- ユーザーの行動
- 思考・感情
これらを可視化したもの
ちなみに、購買行動に一連の流れがある場合「カスタマージャーニー」、購買行動が一定でなく、試行錯誤しながら進行する場合は「エクスペリエンスマップ」と言うそう。
講義中、紹介されていた、スタバの来店前から来店後までを書いたもの。
これを見てUXとブランドってかなり近いなって思った。
書籍で紹介されていたのがこちら。
アイコンがあるとよりわかりやすくなる。
ジャーニーマップは利用状況を理解するものであり、作成するにあたって、アンケートをとったりインタビューをするなど、利用者を理解する作業が必要になる。
(話の中で「エスノグラフィ調査」という言葉が登場したが、利用者を理解にあたっては、このあたりを深追いしていくと楽しそう)
ジャーニーマップを作るメリット
- ユーザーの行動を可視化できる
- 顧客とサービス接点が俯瞰できる
- 関係者と協働作業しやすい
これらのメリットがあるものの、作ることに満足してしまうケースもありので注意が必要。
ジャーニーマップを作るのが目的にならないように、プロトタイプの段階にまでうまく持っていきたいところ。
プロトタイピングについて
プロトタイプはシステム・画面による設計のフローとしてつくることもあるけど、ユーザーにどのように使って欲しいかを考えてつくるのが大事。
ジャーニーマップ
ユーザーの要求整理(課題を特定する)
プロトタイプ
タスク達成のために作る
このあたりの「目的」と「手段」を忘れないように取り組みたい。
UX Archiveというサイトでは、タスクごとにデザインが掲載されている。
画面フローで迷ったときに参考にしたい。
ペルソナについて
ペルソナを設定してない所が多いけれど、設定した方が良いとのこと。
誤解されがちだが、ペルソナはある一人の人だけ特定してるわけではない。あくまでもセグメントを取り出しただけ。
あるセグメントに対しての共通項目を探していくとのこと。
ペルソナを複数設定したり、データ(数字)を元にペルソナを作ることもあるそう。
デザインスプリント
Googleが提唱している「デザインスプリント」についても紹介されてた。
The Design Sprint
デザインスプリントとは、アプリなどの問題を解決のために、5日間という短い期間でプロトタイピングと検証を行うフレームワークのこと。
簡易版ワークショップの記事をちょくちょく見かけて、なかなか楽しそうなので、だれか関西でも企画してください。
ワークショップ
座学が終わってワークショップ。
「映画アプリ」というお題を元に、
簡易ペルソナの作成
↓
カスタマージャーニーマップの作成
↓
施策・アイデアを考える
という流れで進んでいった。
1. 簡易ペルソナの作成
2人ペアになり、お互い自己紹介しつつ、簡単なヒアリングをしながら、シートに書き込んでいく。
シートへの記入はこんなかんじ
年齢・住所・職業・出身地・家族構成など
その製品・サービスとの関わり
お金・時間・家族など、何を大切にしているか
ヒアリング中のアドバイスで「定量的な質問をしてみましょう」というのがあった。
たとえば、相手が「最近、映画観てない」と答えたら、「どのくらい観てないの?」、「年間でどのくらいは観る?」という風に聞くなど。
それを聞いて、自分はつい定性的な質問ばっかしてしまうんだなという気づいた。
実際やってみると、
- 定量的な質問
具体的に行動を聞くことでより、相手の課題がより、はっきりする - 定性的な質問
相手の価値観やニーズがわかる
という印象を持った。
2. カスタマージャーニーマップ
映画を知る(探す) → 観る → 見終わった後 までを時系列にして、感情曲線を書いていく。
色を変えるといいよとあったので、感情を青、行動を赤で書いてる。
3. 施策・アイデア
相手の書いた感情曲線を元に、課題・解決案を出す。
画像は、自分ののシートを元にペアの人が書いてくれたもの。
コツとしては、感情曲線が下がってるとこに注目して、課題を見つけるのが良いらしい。
たとえば、自分の場合、映画を観に行くまでの段階で、電車に出る時間など調べるのが面倒で、テンションが下がっている。そこに対しての課題と解決案を出していくかんじ。
アイデアは別にぶっ飛んでたりしてもOKだし、イラストなど書いた方がより発展しやすいとのこと。
感想
カスタマージャニーマップを作ると、ペルソナ設定だけでは分からなかった、課題や解決法が出てきておもしろかった。
「今はいろいろなデータが取れるが、数字では分からないことが多い。
データの推移で、落ちたことは分かるけれど、なぜ落ちたのかまではわからない。どういったきっかけで変わったのか、分析しよう。」
というようなことを、おっしゃられていた。
細かいワークフローについては、書籍を読みつつ、少しずつ自分の制作フローを変えていこうと思った。